大願成就の島 硫黄島熊野三山


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[69] 番組を見て感じたこと Name:伊藤瞳 MAIL Date:2018/01/06(土) 20:47 [ 返信 ]
 普段授業を、興味を持ちながらうけているからこそ、映像に飽きず、しがみついて44分間みることが出来た。正直ここまで、勉強のための映像を楽しく見ることが出来たのは初めてだった。
 最初に、番組冒頭で俊寛だけが取り残されてしまう場面を演じていた歌舞伎の映像が少し流れたが、私が授業の中で思い描いたイメージとほぼ合致していて、単純だが、嬉しくて仕方なかった。現代では、漫画やアニメが実写化された2.5次元ミュージカルといったものが流行である。紙の中でしか出会えなかった人物が立体化されてそこにいるように感じられるからだ。それと心理は同じように、自分が読んだ歴史小説が歌舞伎として再現されて、頭の中で描いていた人物が登場したら「やっと出会えた」という感覚で心踊るに違いない。文学作品の中の登場人物は、普通は遠くの言わばスターのような存在だからである。ほんのわずかの歌舞伎の映像だったが、言葉だけで理解していた遠くの歴史が、近いものに感じられて、現実だけどタイムスリップして俊寛を眺めているような気を味わえて嬉しかった。
 そして、本題の硫黄島での謎の解明。野中先生一行が硫黄島で謎を解き明かしていく様は、平家物語を授業で学んだ私にとっても見ごたえあるもので、一緒にぞくぞくしていた。いつも授業では、頭の中で想像して物語のストーリーを理解しているが、実際に俊寛らが生きたと言われる硫黄島を映像で視覚化されると、あっ!あのとき先生が言っていた場面だと、授業で理解した内容にさらに奥行きが生まれて楽しかった。『三国名称図会』で、潮の流れがひときわ強い屋久島と口之島の間という表現のところを改めて確認した時にも、「これやった!」と、授業で先生が話されたあの瞬間をすぐ思い出すことが出来、ビデオを見ながらも、中世文学の授業の学びの効果を感じることが出来た。
 そして何より映像で硫黄島を見ると、分厚い本の中でぎっしり文字化された『平家物語』の世界が、一挙にその島に重なって、俊寛、成経、康頼の三人が物語世界の人間ではなく、ほんとうにこの世に存在したリアルな人間として感じとることが出来た。このように、文字を追うだけでは見えなかったものが、実際に見てみることで、浮かび上がってくるかもしれない。そしてそのことはまた、目には見えないけれど、「たしかにここにいたんだ」と、その時代と今とを強く結び付けることが出来る可能性も秘めているから、とてもロマンチックで魅力的なことであると思った。私たち現代人は、どうしても史実を、「歴史の中のもの」として捉えてしまいがちで、どうしても、心のどこかでフィクション的なレッテルを勝手にあててしまう。だから、このビデオのように、実際に足を運んで「そこにあるもの」として視覚化することは、史実を現代に生きる自分たちに近いものとして感じられる良い機会だ。
 「浦々島々や都を眺められる場所・大きな岩が二つ。この二つのヒントと結びついた大谷(ウータン)。和歌山県の熊野三山の立地と、硫黄島で勧請されたという熊野三山の立地がほぼ同じ。那智の滝と同じ幅は全ての滝の中でも1割しかないのに、この硫黄島に存在した神秘。」このビデオの視聴の中で、延慶本平家物語に描かれた世界が、リアルな世界で一つ一つ解明されていくとともに、自分の平家物語への火がどんどん燃え上がっていくような気がした。野中先生が、この研究下、実際に足を運んで『平家物語』のノンフィクション性を発見してこられた過程で得たであろう、ないと思っていたものがあったときの衝撃や嬉しさ、感動、いろんな感情を想像すると、全てが羨ましくなる自分がいたのだ。正直文学研究を毛嫌いしていた自分だったが、研究に携わって新しい発見をし、野中先生が得たであろうものと同じ感情を味わいたい、野中先生みたいに、文学作品を子供のように愛せるようになる研究がしたいと思った。
 野中先生が『平家物語』にどれだけの信念があるのか、授業の時点でわかっているつもりだったが、このビデオを見てさらに感じ取ることが出来た。真実心理の領域に縄張りはない。ほんとうに何かを探求したければ、縄張り飛び越えることが大事。地方や離島に文化の厚みの豊かさがある。中央に偏らずに、周縁もちゃんと見てみなさい。というメッセージが、だからこそ、より説得力を持って、私の心に響いた。レッテルを張っていては新しい芽は生まれない。可能性を信じて、視野を広げながら、それを必死で探してみることで新しい発見が出来るのだ。今後3、4年生になって研究をするときの自分の教訓として心に留めたい。


スレッド記事表示 No.69 番組を見て感じたこと 伊藤瞳 2018/01/06(土) 20:47 [ 返信 ]
   ┗No.70 RE:ありがとうございます 野中哲照 2018/01/15(月) 00:27

  




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